DV事件において、DV等から避難するには、まず、その状況から逃げることが重要です。逃げなければ心身の危険があることはもちろんですが、離婚などの重要な判断ができなくなってしまうからです。
そして、避難方法としては、シェルターへの入居のほか、自分で別居先を確保することがあります。シェルターについては虐待された自分たちを隔離された環境で守ってくれますが、いろいろ制約をうけることがあります。重要な判断をするには、安全な場所であることが重要です。例えば、実家など守ってくれる環境に避難することがあります。ただ、実家や親族などで避難させてくれればよいのですが、そのような場所がない場合には自分で避難先を見つける必要があります。まず、場所を確保することが必要ですが、避難に際して実施すべきことがあります。それは警察への事前相談です。
警察への相談が重要であるのは、「DVについて警察に相談していた」実績を残す意味がありますが、それだけではありません。DVの場合、相手(加害している夫または妻)に秘密で別居をする必要がありますが、そのことで相手が行方不明などでの捜索願などを出す(出さないまでも警察に相談する)ことがあるのです。警察に事前にDVのことを相談しておくと、仮に相手に通報されても警察で適切に対応してくれるからです。相手が行方不明などの相談を警察にされた場合に対応してもらえるようお願いをしておくことで、行方不明などの問題として警察が動くような事件とせずに済むのです。
これは、別居(避難)時に子どもが一緒の場合には重要です。相手は、子どもについても捜索願を出すなどをしてきます。事前相談などをせずに子供を連れて別居してしまうと、自分が「誘拐」しているなどと言われて、逆に加害者となってしまいかねないのです。暴力等のDVからの被害者として「避難」として子供を連れて別居したはずなのに、自分が誘拐者として刑事事件になりかねません。さらに、居場所を知られたくないために子どもを学校に行かせないなどの対応をとってしまうと、今度は警察から児童相談所へ通報されて、自分が「児童虐待」をしているとして児童虐待事件としての処理をされることもあるのです。自分が被害者なのになぜと思うかもしれませんが、親には子どもを学校で学ばせる義務があり、それをさせないということは児童虐待の疑いをかけられることもあるのです。
かつて、あるDV事件でやっと子供を連れて別居をしたはずが、警察などに何も知らせていなかったために、その後「児童虐待」事件となってしまったことがあります。児童虐待とされてしまうと、一緒に連れて逃げたはずの子どもは児童相談所での一時保護をされてしまったり、場合によっては相手の元に帰宅させられたりすることもあります。さらにその後、子どもに「虐待をしていた」と相手に主張されて、離婚の際の子どもの親権・監護権判断の際の1要素とされることもあるのです。
ですので、DV環境からの避難をする際には事前に警察に相談をしておくことをお勧めします。
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