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親権者(非監護権者)と監護権者間での教育権訴訟解説

親権者(非監護権者)と監護権者の間での教育権訴訟

通常の夫婦では、共同して親権者(民法818条)となります。ただ、夫婦(両親)が離婚する場合には、夫婦の一方が親権者となります(同819条)。
この親権ですが、財産管理権と身上監護権(居所指定権、懲戒権、職業許可権など)がその内容となります。この身上監護権のことをよく「監護権」といいます。離婚する夫婦の中には、親権者と監護権者とを分ける場合があります。では、親権者と監護権者が別れた場合に、学校でその子どもの教育の責任を負うのは、親権者でしょうか、監護権者でしょうか。
身上監護という観点からすれば、そこに教育に関する監護も含むとも考えられます。しかし、法律ではどうなっているでしょうか。学校教育法では、親権者とか監護権者という用語は用いられません。代わりに「保護者」という言葉が用いられます。学校教育法では、義務教育(小中学校での教育)に関しては、保護者が子に9年の普通教育を受けさせる義務を負うとし(16条)、保護者に就学義務を負わせています(17条)。その保護者については,学校教育法16条で「保護者(子に対して親権を行う者)」と規定しています。学校教育法では、保護者すなわち親権者に就学義務を負わせているのです。しかし、ある小学校では、学校生活上、監護権者に教育参加をさせ、親権者には、教育参加の機会を与えていないのです。これは、学校教育法に違反するものとして、学校教育法上の保護者、就学義務を負う保護者などが親権者であることを確認することを求め、実質的当事者訴訟及び親権者に教育参加をさせなかったことについての国家賠償請求訴訟を提起しています。
第一審、控訴審とも確認の利益をないとして、残念ながら「保護者」概念の確認判断を避けるとともに違法性がないとして国家賠償請求訴訟も棄却しました。しかし、本件では、同判断は、教育権(憲法26条)、監護親と非監護親の平等権(憲法14条)に違反する判断です。そこで現在は、最高裁判所に上告提起および上告受理申し立てをしています。



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